運用コマンドレファレンス Vol.2


ping

pingコマンドは,目的のIPアドレスを持つ装置に対して通信可能であるかどうかを判定するために使用します。

[入力形式]

ping <host> [numeric] [summary] [record-route] [direct] [verbose]
     [count <count>] [interval <wait>] [preload <preload>]
     [pad-byte <pattern>] [packetsize <size>] [[specific-route]
     source <source address>] [ttl <ttl>] [vrf <vrf id>]
ping <host> {compact | simple} [numeric] [record-route] [direct]
     [count <count>] [interval <wait>] [pad-byte <pattern>] 
     [packetsize <size>] [[specific-route] source <source address>]
     [ttl <ttl>] [vrf <vrf id>]
ping <host> [numeric] [summary] [record-route] [direct] [verbose]
     [count <count>] [interval <wait>] [preload <preload>]
     [pad-byte <pattern>] [packetsize <size>] [source <source address>]
     [nexthop <nexthop address>][ttl <ttl>] [vrf <vrf id>]
ping <host> {compact | simple} [numeric] [record-route] [direct] 
     [count <count>] [interval <wait>] [pad-byte <pattern>] 
     [packetsize <size>] [source <source address>]
     [nexthop <nexthop address>] [ttl <ttl>] [vrf <vrf id>]

[入力モード]

一般ユーザモードおよび装置管理者モード

[パラメータ]

<host>

宛先ホスト名またはIPアドレスを指定します。

vrf <vrf id>を指定する場合,<host>にはIPアドレスだけが指定でき,宛先ホスト名は指定できません。【SL-L3A】

compact

実行結果を,以下の記号を用いて簡潔に表示します。本パラメータ指定時は,ping送信回数の初期設定値が5回となります。

!:応答あり(ICMP Echo Reply)

.:応答なし

U:あて先到達不可能(ICMP Destination Unreachable)

C:発信元抑制(ICMP Source Quench)

&:TTLオーバー(ICMP Time Exceeded)

?:ICMPパケットタイプ判定不可能

なお,送信間隔時間内に応答がなかった場合は,応答なし(タイムアウト)と判定されます。

また,simpleパラメータ,summaryパラメータ,verboseパラメータおよびpreloadパラメータと同時には指定できません。

simple

実行結果を,以下の記号を用いて簡潔に表示します。本パラメータ指定時は,ping送信回数の初期設定値が5回となります。

!:応答あり(ICMP Echo Reply)

.:応答なし

なお,「応答なし」は,応答がなかった(echo replyに抜けがあった)あと,あらためて応答を受信したときに,「応答あり」とまとめて一度に表示します。そのため,応答がない間はリアルタイムには表示されません。

また,compactパラメータ,summaryパラメータ,verboseパラメータおよびpreloadパラメータと同時には指定できません。

numeric

ホストのIPアドレスを名前に変換しないで,そのまま表示します。

本パラメータ省略時の動作

ICMPエラー受信時,ホストのIPアドレスを名前に変換して表示します。

summary

出力を抑制します。開始時と終了時の要約行だけ表示します。

本パラメータ省略時の動作

1応答で1行の通常表示となります。

record-route

指定ホストまでの到達経路を記録します。ECHO_REQUESTパケット中にRECORD_ROUTEオプションを付け,返送パケット上の経路バッファを表示します。IPヘッダには経路を9個収める大きさしかないことに注意してください。また多くのホストはこのオプションを無視するか切り捨てます。

本パラメータ省略時の動作

RECORD_ROUTEオプションを使用しません。

direct

通常のルーティングテーブルを無視し,直接接続されているネットワーク上のホストに対して送信します。指定接続されたネットワーク上にホストが存在しない場合には,エラーが返されます。このオプションは経路情報を持たないインタフェースを経由してローカルホストにpingを実行する場合に用いられます。

本パラメータ省略時の動作

通常のルーティングテーブルを使用して送信します。

verbose

冗長出力を有効にします。ECHO_RESPONSE以外の受信ICMPパケットや,本コマンド以外の受信ICMPパケットも表示されます。

本パラメータ省略時の動作

ECHO_RESPONSEおよびその他のエラーだけを表示します。

count <count>

<count>で指定した回数だけパケットを送信して終了します。中断したい場合は[Ctrl+C]を入力してください。指定できる値は1〜2147483647です。ただし,simpleパラメータ指定時の送信回数は最大65536回となります。

本パラメータ省略時の動作

無限に送信します。ただし,compactパラメータまたはsimpleパラメータ指定時は5回となります。

interval <wait>

<wait>で指定した秒数だけパケットの送信間隔を空けます。指定できる値は0.01〜0.09,0.1〜0.9および1〜2147483647です。0.01秒から0.09秒までは0.01秒単位,0.1秒から0.9秒までは0.1秒単位,1秒から2147483647秒までは1秒単位で指定できます。

本パラメータ省略時の動作

送信間隔は1秒になります。

preload <preload>

<preload>で指定した数だけパケットをできるだけ速く送信し,通常の動作に戻ります。指定できる値は1〜2147483647です。なお,本パラメータは通常の運用では使用しないでください。本パラメータを使用した場合,CPUの使用率が上がったり,送信帯域を大幅に消費したりするため,他プロセス,サービスまたは通信に影響を与えるおそれがあります。

本パラメータ省略時の動作

preload送信しません。

pad-byte <pattern>

送信するパケットを埋めるpadバイトを指定します。padバイトは16バイトを上限とします。これはネットワーク上でデータ依存の問題を診断するときに有効です。例えばpad-byte ffはすべて1の送信パケットを生成します。指定できる値と範囲は16進数で1〜32桁です。

本パラメータ省略時の動作

00〜ffでインクリメントしながらpadを生成します。

packetsize <size>

送信するデータのバイト数を指定します。指定できる値は1〜65467です。

本パラメータ省略時の動作

送信するデータのバイト数は56バイトです。これはICMPヘッダデータの8バイトと合わせて64バイトになります。

specific-route

マルチパス経路の宛先の場合に,特定の経路へだけパケットを送信します。パケットの送信インタフェースはsourceオプションの<source address>で指定したIPアドレスが設定されているインタフェースです。

また,nexthop <nexthop address>パラメータと同時には指定できません。

本パラメータ省略時の動作

特定の経路を指定しません。

source <source address>

<source address>で指定したIPアドレスを出力パケットの送信元アドレスとして使用します。指定できるIPアドレスは本装置に設定されているIPアドレスだけです。

本パラメータ省略時の動作

本装置が選択した送信元IPアドレスが使用されます。

nexthop <nexthop address>

<nexthop address>で指定したIPアドレス宛てにパケットを送信します。<nexthop address>にはIPv4アドレスを指定してください。ただし,クラスDアドレスおよび"255.255.255.255"は指定できません。

また,specific-routeパラメータと同時には指定できません。

本パラメータ省略時の動作

通常のルーティングテーブルに従ってパケットを送信します。

ttl <ttl>

<ttl>で指定した値をIPヘッダのttlフィールドに設定します。設定可能な値は1〜255です。

本パラメータ省略時の動作

<host>で指定したアドレスがユニキャストアドレスであれば255が,マルチキャストアドレスであれば1が設定されます。

vrf <vrf id>【SL-L3A】

VRFを指定して表示します。<vrf id>にはコンフィグレーションコマンドで設定されたVRF IDを指定してください。

本パラメータ省略時の動作

グローバルネットワークを表示します。

すべてのパラメータ省略時の動作

グローバルネットワークを対象に1応答で1行の通常表示となります。

[スタック構成時の運用]

スタンドアロンと同様に運用できます。

[実行例]

[表示説明]

なし

[通信への影響]

preloadパラメータを使用した場合,CPUの使用率が上がったり,送信帯域を大幅に消費したりするため,通信に影響を与えるおそれがあります。

[応答メッセージ]

表2‒24 pingコマンドの応答メッセージ一覧

メッセージ

内容

Bad/invalid number of packets

countで指定した送信回数が多過ぎます。送信回数を少なくしてください。

Can't set source interface/address: Can't assign requested address

指定したIPアドレスは本装置に設定されていません(sourceオプション時)。

Cannot resolve "<host>" (Unknown host)

指定したホストのアドレス解決に失敗しました。

<host> ホスト名

Cannot specify hostname with VRF

VRFと同時にホスト名称を指定できません。

Invalid IPv4 address. -- <nexthop address>

指定した<nexthop address>の値が不正です。<nexthop address>にはクラスDアドレスおよび"255.255.255.255"は指定できません。それ以外のIPv4アドレスを指定してください。

<nexthop address> IPv4アドレス

packet too short (<receive> bytes) from <host>

指定したホストからのパケット長が短過ぎます。

<receive> 受信したデータ長

<host> ホスト名またはIPアドレス

recvfrom: <error message>

ソケットからのデータ受信に失敗しました。

<error message> エラーメッセージ

sendto: <error message>

ソケットへのデータ送信に失敗しました。

<error message> エラーメッセージ

socket: <error message>

ソケットオープンに失敗しました。

<error message> エラーメッセージ

unknown protocol icmp

icmpプロトコル情報取得に失敗しました。

wrote <host> <send> chars, ret=<sent>

指定したホストへパケットが送信できません。

<host> ホスト名またはIPアドレス

<send> 送信するデータ長

<sent> 送信したデータ長

[注意事項]