コンフィグレーションガイド Vol.3


31.4.9 IPv6 PIM-SM使用時の注意事項

IPv6 PIM-SMを使用したネットワークを構成する場合には,次に示す制限事項に留意してください。

本装置はRFC2362(PIM-SM仕様)に準拠していますが,ソフトウェアの機能制限から一部RFCとの差分があります。RFCとの差分を次の表に示します。

表31‒11 RFCとの差分

RFC

本装置

パケットフォーマット

RFCにはエンコードグループアドレスおよびエンコードソースアドレスにマスク長を設定するフィールドがある。

エンコードアドレスのマスク長は128固定。

RFCにはエンコードグループアドレスおよびエンコードソースアドレスにアドレスファミリとエンコードタイプを設定するフィールドがある。

エンコードアドレスのアドレスファミリは2(IPv6),エンコードタイプは0固定。IPv6以外のPIM-SMとは接続できない。

RFCにはPIMメッセージのヘッダにPIMバージョンを設定するフィールドがある。

PIMバージョンは2固定。

PIMバージョン1と接続できない。

Join/Pruneフラグメント

Join/PruneメッセージはネットワークのMTUを超えてもフラグメントできる。

送信するJoin/Pruneメッセージのサイズが大きい場合,8kバイトに分割して送信する。さらに分割して送信するJoin/PruneメッセージはネットワークのMTU長でIPフラグメントによって送信される。

PMBRとの接続

RFCではPMBR(PIM Border Router)との接続および(*,*,RP)エントリに関する仕様が記述されている。

PMBRとの接続はサポートしていない。また,(*,*,RP)エントリもサポートしていない。

最短経路への切り替え

最短経路への切り替えタイミングの例としてデータレートを基に切り替える方法がある。

last-hop-routerで最初のデータを受信したら,データレートをチェックしないで最短経路へ切り替える。

C-RP-Adv受信とBootstrap送信

Bootstrapメッセージは生成したメッセージ長が最大パケット長を超えた場合にフラグメントすることが許される。しかし,フラグメント発生を抑止するためにランデブーポイント候補の最大数を設定することが望ましい。

BSRはシステムで1台だけである。さらにランデブーポイントで設定できるグループプレフィックスは最大128個である。

本装置では送信するBootstrapメッセージのサイズが大きい場合,ネットワークのMTU長でIPフラグメントして送信される。

Helloメッセージオプション

RFCではHoldTimeオプション(タイプ1)が定義されている。

HoldTimeオプションのほかに,隣接ルータアドレスリストオプション(タイプ24およびタイプ65001)を使用する。(「31.4.3 近隣検出」参照)

Join/Pruneメッセージの送受信

(S,G)RPT=1 Pruneメッセージだけを送受信する。

(S,G)RPT=1 Join/Pruneメッセージを送受信する。