コンフィグレーションガイド Vol.3


12.1.5 仮想リンク

OSPFでは,スタブエリア,またはNSSAとして設定しておらず,バックボーンでもないエリア上のある二つのエリアボーダルータで,このエリア上の二つのルータ間の経路をポイント−ポイント型回線と仮想することによって,バックボーンのインタフェースとして使用できます。この仮想の回線のことを仮想リンクと呼びます。仮想リンクの実際の経路があるエリアのことを,仮想リンクの通過エリアと呼びます。

仮想リンクの使い方として,次に示す三つの例を挙げます。

(a) バックボーンに物理的に接続していないエリアの仮想接続

次の図で,エリア2はバックボーンに接続していません。この場合,ルータ1とルータ2の間にエリア1を通過エリアとする仮想リンクを設定することによって,ルータ2はバックボーンに接続するエリアボーダルータとなり,エリア2をバックボーンに接続しているとみなせるようになります。

図12‒3 エリアのバックボーンへの接続

[図データ]

(b) 複数のバックボーンの結合

次の図では,AS内にバックボーンであるエリアが二つ存在します。この状態では,バックボーンの分断による経路到達不能などの障害が発生することがあります。この場合,ルータ1とルータ2の間にエリア1を通過エリアとする仮想リンクを設定することによって,バックボーンが結合されることになり,この障害を回避できます。

図12‒4 バックボーン間の接続

[図データ]

(c) バックボーンの障害による分断に対する経路の予備

次の図では,バックボーンでネットワークの障害が発生し,ルータ1とルータ2の間の接続が切断された場合,バックボーンが分断されます。この場合,ルータ1とルータ2の間にエリア1を通過エリアとする仮想リンクを設定すると,これがバックボーンの分断に対する予備の経路(バックボーンでのルータ1−ルータ2のコストと比較して,仮想リンクのコストが十分に小さい場合には,主な経路)になります。

図12‒5 バックボーン分断に対する予備経路

[図データ]