コンフィグレーションガイド Vol.2


13.1.1 概要

GSRP(Gigabit Switch Redundancy Protocol)は,スイッチに障害が発生した場合でも,同一ネットワーク上の別スイッチを経由して通信経路を確保することを目的とした装置の冗長化を実現する機能です。

レイヤ2ではネットワークの冗長化を行うスパニングツリー,レイヤ3ではデフォルトゲートウェイの冗長化を行うVRRPを冗長化機能として利用できますが,GSRPを使うと,レイヤ2とレイヤ3の冗長化を一つの機能で同時に実現できます。

レイヤ2およびレイヤ3を同時に冗長化する機能の比較を次の表に示します。

表13‒1 レイヤ2およびレイヤ3を同時に冗長化する機能の比較

冗長化機能

説明

GSRP

  • レイヤ2とレイヤ3の冗長化を一つの機能で実現しているため,管理が容易になる。

  • 本装置独自仕様の機能のため,他社装置との接続はできない。

スパニングツリー+VRRP

  • レイヤ2およびレイヤ3の両方で同時に冗長化を確保したい場合は,スパニングツリー,VRRPの両方の機能が必要になる。

  • 標準プロトコルのため,マルチベンダーによるネットワークを構築できる。

GSRPによるレイヤ2の冗長化の概要を次の図に示します。

図13‒1 GSRPの概要

[図データ]

GSRP機能を動作させる本装置2台をペアにしてグループを構成し,通常運用では片側をマスタ状態,もう一方をバックアップ状態として稼働させます。マスタ状態の本装置Aはフレームをフォワーディングし,バックアップ状態の本装置Bはブロッキングします。リンクの障害や装置障害などが発生した場合,本装置A,B間でマスタ状態とバックアップ状態の切り替えを行います。これによって,通信を継続できます。