運用コマンドレファレンス Vol.2
ping ipv6コマンドは,目的のIPv6アドレスを持つ装置に対して通信可能であるかどうかを判定するために使用します。本コマンドはIPv6専用です。
[入力形式]
ping ipv6 <host> [numeric] [summary] [verbose] [hostname] [count <count>] [interval <wait>] [preload <preload>] [pad-byte <pattern>] [interface <interface type> <interface number>] [[specific-route] source <source address>] [packetsize <size>] [hoplimit <hops>] [<gateway address>…] [vrf <vrf id>] ping ipv6 <host> compact [numeric] [hostname] [count <count>] [interval <wait>] [pad-byte <pattern>] [interface <interface type> <interface number>] [[specific-route] source <source address>] [packetsize <size>] [hoplimit <hops>] [<gateway address>…] [vrf <vrf id>] ping ipv6 <host> simple [numeric] [hostname] [count <count>] [interval <wait>] [pad-byte <pattern>] [interface <interface type> <interface number>] [[specific-route] source <source address>] [packetsize <size>] [hoplimit <hops>] [<gateway address>…] [vrf <vrf id>]
[入力モード]
一般ユーザモードおよび装置管理者モード
[パラメータ]
- <host>
- 宛先ホスト名,IPv6アドレス,またはインタフェース名称付きIPv6アドレス(リンクローカルアドレスだけ)を指定します。
- vrf <vrf id>を指定する場合,<host>にはIPv6アドレス,またはインタフェース名称付きIPv6アドレス(リンクローカルアドレスだけ)のどちらかだけを指定できます。vrf <vrf id>を指定する場合,<host>には宛先ホスト名を指定できません。【SL-L3A】
- compact
- 実行結果を,以下の記号を用いて簡潔に表示します。本パラメータ指定時は,ping ipv6送信回数の初期設定値が5回となります。
- !:応答あり(ICMPv6 Echo Reply)
- .:応答なし
- U:経路なし(ICMPv6 Destination Unreachable: No route to destination)
- A:アクセス拒否
- (ICMPv6 Destination Unreachable:
- Communication with destination administratively prohibited)
- N:アドレススコープ範囲超え
- (ICMPv6 Destination Unreachable: Beyond scope of source address )
- H:アドレス到達不能
- (ICMPv6 Destination Unreachable: Address unreachable)
- S:ポート到達不能(ICMPv6 Destination Unreachable: Port unreachable)
- @:上記以外の到達不能(ICMPv6 Destination Unreachable: 未定義コード)
- B:パケット過大(ICMPv6 Packet too big)
- T:時間超過(ICMPv6 Time exceeded)
- P:パラメータ問題(ICMPv6 Parameter problem)
- ?:ICMPv6パケットタイプ判定不可能
- なお,送信間隔時間内に応答がなかった場合は,応答なし(タイムアウト)と判定されます。また,simpleパラメータ,summaryパラメータ,verboseパラメータおよびpreloadパラメータと同時には指定できません。
- simple
- 実行結果を,以下の記号を用いて簡潔に表示します。本パラメータ指定時は,送信回数の初期設定値が5回となります。
- !:応答あり(ICMP Echo Reply)
- .:応答なし
- なお,「応答なし」は,応答がなかった(echo replyに抜けがあった)あと,あらためて応答を受信したときに,「応答あり」とまとめて一度に表示します。そのため,応答がない間はリアルタイムには表示されません。
- また,compactパラメータ,summaryパラメータ,verboseパラメータおよびpreloadパラメータと同時には指定できません。
- numeric
- ホストのIPv6アドレスを名前に変換しないでそのまま表示します。ホスト基準名がホストに登録されている場合,終了時にその基準名を表示します。
- 本パラメータ省略時の動作
- hostnameパラメータが指定されている場合,ホストのIPv6アドレスを名前に変換して表示します。
- hostnameパラメータが指定されていない場合,ホストのIPv6アドレスを名前に変換しないでそのまま表示します。
- summary
- 出力を抑制します。開始時と終了時の要約行だけ表示します。
- 本パラメータ省略時の動作
- 1応答で1行の通常表示となります。
- verbose
- 冗長出力を有効にします。ECHO_RESPONSE以外の受信ICMPv6パケットや,本コマンド以外の受信ICMPv6パケットも表示されます。
- 本パラメータ省略時の動作
- ECHO_RESPONSEおよびその他のエラーだけを表示します。
- hostname
- 出力結果をホスト名で表示します。
- 本パラメータ省略時の動作
- ホストのIPv6アドレスを名前に変換しないでそのまま表示します。
- count <count>
- <count>で指定した回数だけパケットを送信して終了します。中断したい場合は[Ctrl+C]を入力してください。指定できる値は1〜2147483647です。ただし,simpleパラメータ指定時の送信回数は最大65536回となります。
- 本パラメータ省略時の動作
- 無限に送信します。ただし,compactパラメータまたはsimpleパラメータ指定時の送信回数は5回となります。
- interval <wait>
- <wait>で指定した秒数だけパケットの送信間隔を空けます。指定できる値は0.1〜0.9および1〜2147483647です。1秒未満については0.1秒単位,1秒から2147483647秒までは1秒単位で指定できます。
- 本パラメータ省略時の動作
- 送信間隔は1秒になります。
- preload <preload>
- <preload>で指定した数だけパケットをできるだけ速く送信し,通常の動作に戻ります。指定できる値は1〜2147483647です。なお,本パラメータは通常の運用では使用しないでください。本パラメータを使用した場合,CPUの使用率が上がったり,送信帯域を大幅に消費したりするため,他プロセス,サービスまたは通信に影響を与えるおそれがあります。
- 本パラメータ省略時の動作
- preload送信しません。
- pad-byte <pattern>
- 送信するパケットを埋めるpadバイトを指定します。padバイトは16バイトを上限とします。これはネットワーク上でデータ依存の問題を診断するときに有効です。例えばpad-byte ffはすべて1の送信パケットを生成します。指定できる値と範囲は16進数で1〜32桁です。
- 本パラメータ省略時の動作
- 00〜ffでインクリメントしながらpadを生成します。
- interface <interface type> <interface number>
- <host>で指定した宛先IPv6アドレスがマルチキャストアドレスまたはリンクローカルアドレスの場合は,送信元インタフェースを指定します。
- <host>で指定した宛先IPv6アドレスがユニキャストアドレスの場合は,<interface type> <interface number>で指定されたインタフェースにアクティブ経路を保持している場合だけパケットを送信します。
- <interface type> <interface number>には,次に示すインタフェース種別グループに対応するインタフェース名およびインタフェース番号を指定できます。詳細は,「パラメータに指定できる値」の「■インタフェースの指定方法」を参照してください。
- VLANインタフェース
- ループバックインタフェース
- マネージメントポート
- 本パラメータ省略時の動作
- 本装置が選択したインタフェースからパケットを送信します。
- specific-route
- マルチパス経路の宛先の場合に,特定の経路へだけパケットを送信します。パケットの送信インタフェースはsourceオプションの<source address>で指定したIPv6アドレスが設定されているインタフェースです。
- 本パラメータ省略時の動作
- 特定の経路を指定しません。
- source <source address>
- <source address>で指定したIPv6アドレスを出力パケットの送信元アドレスとして使用します。指定できるIPv6アドレスは本装置に設定されているIPv6アドレスだけです。
- 本パラメータ省略時の動作
- 本装置が選択した送信元IPv6アドレスが使用されます。
- packetsize <size>
- 送信するデータのバイト数を指定します。送信パケットのサイズはIPv6ヘッダの40バイトとICMPv6ヘッダの8バイトにこの値を足したものになります。指定できる値は1〜65527です。
- 本パラメータ省略時の動作
- 送信するデータのバイト数は8バイトになります。
- hoplimit <hops>
- <hops>で指定した値をIPv6ヘッダのhopsフィールドに設定します。設定可能な値は1〜255です。
- 本パラメータ省略時の動作
- 64が設定されます。
- <gateway address>
- ソースルートのゲートウェイを指定します。最大8か所まで指定できます。
- 本パラメータ省略時の動作
- ソースルートゲートウェイを設定しません。
- vrf <vrf id>【SL-L3A】
- VRFを指定します。<vrf id>にはコンフィグレーションコマンドで設定されたVRF IDを指定してください。
- 本パラメータ省略時の動作
- グローバルネットワークを対象とします。
- すべてのパラメータ省略時の動作
- グローバルネットワークを対象に1応答で1行の通常表示となります。
[スタック構成時の運用]
スタンドアロンと同様に運用できます。
[実行例]
- デフォルト値(試行回数無限,データサイズ56バイト,送信間隔1秒)でエコーテストします。
図10-20 デフォルト値でのping ipv6コマンド実行結果画面
>ping ipv6 3ffe:1:100::120 PING6(56=40+8+8 bytes) 3ffe:1:100::1 --> 3ffe:1:100::120 16 bytes from 3ffe:1:100::120, icmp_seq=0 hlim=64 time=0.301 ms 16 bytes from 3ffe:1:100::120, icmp_seq=1 hlim=64 time=0.468 ms 16 bytes from 3ffe:1:100::120, icmp_seq=2 hlim=64 time=0.45 ms ^C --- 3ffe:1:100::120 ping6 statistics --- 3 packets transmitted, 3 packets received, 0.0% packet loss round-trip min/avg/max = 0.301/0.406/0.468 ms >- 試行回数3回,データサイズ120バイト,送信間隔2秒でエコーテストします。
図10-21 試行回数3回,データサイズ120バイト,送信間隔2秒のping ipv6コマンド実行例
>ping ipv6 3ffe:1:100::120 count 3 packetsize 120 interval 2- compactパラメータ指定,試行回数10回でエコーテストする。
図10-22 compactパラメータ指定,試行回数10回のping ipv6コマンド実行例
> ping ipv6 3ffe:1:100::120 compact count 10 PING6(56=40+8+8 bytes) 3ffe:1:100::1 --> 3ffe:1:100::120 !!!!!!!!!! 10 packets transmitted, 10 packets received, 0.0% packet loss round-trip min/avg/max = 0.301/0.406/0.468 ms >- simpleパラメータ指定,試行回数100回,送信間隔0.5秒でエコーテストする。
図10-23 simpleパラメータ指定,試行回数100回,送信間隔0.5秒のping ipv6コマンド実行例
> ping ipv6 3ffe:1:100::120 simple count 100 interval 0.5 PING6(56=40+8+8 bytes) 3ffe:1:100::1 --> 3ffe:1:100::120 !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!.........................!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 100 packets transmitted, 75 packets received, 25.0% packet loss round-trip min/avg/max = 0.301/0.406/0.468 ms >
[通信への影響]
preloadパラメータを使用した場合,CPUの使用率が上がったり,送信帯域を大幅に消費したりするため,通信に影響を与えるおそれがあります。
[応答メッセージ]
表10-26 ping ipv6コマンドのメッセージ一覧
メッセージ 内容 <interface name>: invalid interface name 設定されていないインタフェースが指定されました。
<interface name>:指定されたインタフェースに付与するインタフェース名Bad/invalid number of packets countで指定した送信回数が多過ぎます。送信回数を少なくしてください。 bind: Can't assign requested address 指定したIPv6アドレスは本装置に設定されていません(sourceオプション時)。 Cannot specify hostname with VRF VRFと同時にホスト名称を指定できません。 failed to get receiving hop limit 受信パケットからホップリミットが取得できませんでした。 failed to get receiving packet information 受信パケットからパケット情報が取得できませんでした。 invalid peername 受信パケットに不正な相手が設定されていました。 invalid source address: <error message> 不正な送信元アドレスが指定されています。
<error message>:エラーメッセージNo address associated with hostname ホスト名に対応するアドレスが見つかりませんでした。 packet too short (<receive> bytes) from <host> 指定したホストからのパケット長が短過ぎます。
<receive> 受信したデータ長
<host> ホスト名またはIPv6アドレスpatterns must be specified as hex digits パターン文字は16進数で指定してください(pad-byteオプション時)。 recvmsg: <error message> ソケットからのデータ受信に失敗しました。
<error message> エラーメッセージsendmsg: <error message> ソケットへのデータ送信に失敗しました。
<error message> エラーメッセージsendmsg: Message too long packetsizeで指定したデータのバイト数が大き過ぎるため送信できません。データのバイト数を小さくしてください。 sendmsg: No buffer space available packetsizeで指定したデータのバイト数が大き過ぎるため送信できません。データのバイト数を小さくしてください。 socket: <error message> ソケットオープンに失敗しました。
<error message> エラーメッセージunknown host <hostname> ホスト名が間違っています。正しいホスト名を入力してください。 unknown protocol icmp icmpプロトコル情報取得に失敗しました。 wrote <host> <send> chars, ret=<sent> 指定したホストへパケットが送信できません。
<host> ホスト名またはIPv6アドレス
<send> 送信するデータ長
<sent> 送信したデータ長
[注意事項]
- ping ipv6コマンドを中断したい場合は[Ctrl+C]を入力してください。なお,simpleパラメータ指定時に中断した場合は,その時点で未受信のecho replyに対応した「応答なし」の表示"."を中断後に表示するため,「応答なし」の表示の個数が正確ではないことがあります。
- IPv6はIPv4と異なり,送信インタフェースに設定されているアドレスが始点アドレスとならない場合があります。
ping ipv6コマンドによる疎通確認をする場合は,始点アドレスにどのアドレスが選択されているか確認し,疎通ができなければsourceパラメータを使用して自装置のインタフェースに設定されているほかのIPv6アドレスを指定して再度確認してください。
- 他装置と重複しているIPv6アドレス宛にping ipv6コマンドを実行した場合,そのIPv6アドレスとは異なるIPv6アドレスから応答メッセージが返ることがあります。
また,立ち上がり直後のインタフェースのIPv6アドレス宛に実行した場合も,最初の数秒間だけ異なるIPv6アドレスから応答メッセージが返ることがあります。
- compactパラメータまたはsimpleパラメータ指定時は,summaryパラメータ,verboseパラメータおよびpreloadパラメータと同時には指定できません。
- compactパラメータまたはsimpleパラメータ指定時は,pingの無限回数送信はできません。
- intervalを小さくした場合は,送受信されないで「応答なし」の表示となることがあります。そのため,使用環境に応じて調整してください。
- intervalを小さくした場合に,コンソールなどの通信速度の遅い端末から本コマンドを実行した場合,表示が遅いため「応答なし」の表示となることがあります。その場合は通信速度の速いリモート運用端末から実行するか,simpleまたはsummaryパラメータを指定して実行してください。
- intervalを小さくした場合に,実際に送信される各パケットの送信間隔については,装置の負荷状態によるため,厳密にはintervalで指定した時間どおりとはなりません。pingテスト全体としての平均時間で見た場合にintervalで指定された送信間隔となるように送信されます。
- simpleパラメータはcompactパラメータのような送信間隔ごとのタイムアウトはありません。そのため,「応答なし」は,応答がなかった(echo replyに抜けがあった)あとに,あらためて応答を受信したときに,「応答あり」とまとめて一度に表示します。応答がない間はリアルタイムには表示されません。
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