コンフィグレーションガイド Vol.3


10.1.5 AS外経路の導入例

バックアップ回線を使用した構成での例を次の図に示します。

図10‒3 バックアップ回線を使用した構成でのAS外経路の導入例

[図データ]

OSPFでは,隣接するルータを検出するために,定期的にパケットを交換します。そのため,バックアップ回線をOSPFのトポロジの一部として使用した場合,この回線でパケットを継続して交換するため,バックアップ回線も常に運用状態になります。バックアップ回線上での通信が必要ではない場合にバックアップ回線を休止状態にするには,次のように設定します。

本装置Aでは主回線でOSPFを動作させ,バックアップ回線にネットワークAへのスタティック経路を設定します。さらに,スタティック経路のディスタンス値を,OSPFのエリア内経路のディスタンス値よりも大きな値(優先度が低い)に設定します。これによって,ネットワークAへの経路はOSPFで学習したAS内経路が選択されます。主回線障害時,本装置Aでは該当するAS内経路が削除されてスタティック経路を再選択しますが,本装置CではネットワークAへの経路情報が存在しなくなります。本装置AでのネットワークAへのスタティック経路情報をAS外経路として本装置Cに広告するためには,本装置Aで経路再配布のコンフィグレーションを設定する必要があります。こうすることで,バックアップ回線上でHelloパケットを交換しないで主回線障害時にもOSPFにネットワークAへの有用な経路情報を導入できます。