コンフィグレーションガイド Vol.3


10.1.3 経路選択アルゴリズム

OSPFでは,経路選択のアルゴリズムとして,SPF(Shortest Path First)アルゴリズムを使用します。

各ルータには,OSPFが動作しているすべてのルータと,ルータ−ルータ間およびルータ−ネットワーク間のすべての接続から成るデータベースがあります。このデータベースから,ルータおよびネットワークを頂点とし,ルータ−ルータ間およびルータ−ネットワーク間の接続を辺とするトポロジを構成します。このトポロジにSPFアルゴリズムを適用して,最短経路木を生成し,これを基に各頂点およびアドレスへの経路を決定します。

ネットワーク構成例を次の図に示します。

図10‒1 ネットワーク構成例

[図データ]

ルータ1を根として生成した最短経路木を次の図に示します。この図では,OSPFのトポロジと,頂点間のコストの設定例を示します。ルータ−ネットワーク間の接続では,ルータからネットワークへの接続だけにコストを設定できます。ネットワークからルータへのコストは常に0です。

ある宛先へのコストは,経路が経由する各インタフェースの送信コストの合計となります。例えば,ルータ1からネットワーク2宛ての経路のコストは,6(ルータ1−ネットワーク1)+0(ネットワーク1−ルータ3)+2(ルータ3−ネットワーク2)=8となります。

図10‒2 ルータ1を根とする最短木

[図データ]

OSPFでは,コストを基に最適な経路を選択します。ある構成で適切ではない経路を選択してしまう場合には,望ましくないネットワークのインタフェースのコストを上げるか,より望ましいネットワークのインタフェースのコストを下げることによって,適切な経路を指示できます。このときコストが小さ過ぎると,コストは1未満にできないため,このインタフェースを除く全ルータのインタフェースにかかるコストを上げなければならないことがあります。大規模なネットワークでは,将来最適化するときに任意のインタフェースのコストを減らせるように,インタフェースのコストをあまり小さく設定しないことをお勧めします。