14.1.1 概要
GSRP(Gigabit Switch Redundancy Protocol)は,スイッチに障害が発生した場合でも,同一ネットワーク上の別スイッチを経由して通信経路を確保することを目的とした装置の冗長化を実現する機能です。
レイヤ2ではネットワークの冗長化を行うスパニングツリー,レイヤ3ではデフォルトゲートウェイの冗長化を行うVRRPを冗長化機能として利用できますが,GSRPを使うと,レイヤ2とレイヤ3の冗長化を一つの機能で同時に実現できます。
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レイヤ2
2台のスイッチ間で制御するため,スパニングツリーよりも装置間の切り替えが高速です。また,ネットワークのコアスイッチを多段にするような大規模な構成にも適しています。
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レイヤ3
2台のスイッチで同一のIPアドレスとMACアドレスを持つことでデフォルトゲートウェイを冗長化します。PCなどに対するデフォルトゲートウェイにGSRPを適用することで,PCなどから上流のネットワークへの通信経路を冗長化できます。デフォルトゲートウェイの装置に障害が発生した場合でも同一のIPアドレス,MACアドレスを引き継いで切り替えることで,PCなどからのデフォルトゲートウェイを経由した通信を継続できます。
レイヤ2およびレイヤ3を同時に冗長化する機能の比較を次の表に示します。
冗長化機能 |
説明 |
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GSRP |
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スパニングツリー+VRRP |
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GSRPによるレイヤ2の冗長化の概要を次の図に示します。
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GSRP機能を動作させる本装置2台をペアにしてグループを構成し,通常運用では片側をマスタ状態,もう一方をバックアップ状態として稼働させます。マスタ状態の本装置Aはフレームをフォワーディングし,バックアップ状態の本装置Bはブロッキングします。リンクの障害や装置障害などが発生した場合,本装置A,B間でマスタ状態とバックアップ状態の切り替えを行います。これによって,通信を継続できます。