コンフィグレーションコマンドレファレンス Vol.1
IPv4フィルタとして動作するアクセスリストを設定します。IPv4フィルタとして動作するアクセスリストには種類が二つあります。IPv4アドレスフィルタと,IPv4パケットフィルタです。IPv4アドレスフィルタでは,IPv4アドレスに基づいてフィルタします。IPv4パケットフィルタでは,送信元IPv4アドレス,宛先IPv4アドレス,VLAN ID,ユーザ優先度,ToSフィールドの値,ポート番号,TCPフラグ,ICMPタイプおよびICMPコードに基づいてフィルタします。
アクセスリストの一つのIDで複数個のフィルタ条件が指定できます。
装置当たり,IPv4,IPv6,MACのアクセスリストを最大1024リスト作成できます。
IPv4アドレスフィルタおよびIPv4パケットフィルタごとにフィルタ条件を最大1024エントリ作成できます。
remarkは,アクセスリストおよびQosフローリスト合わせて,装置当たり最大1024指定できます。
アクセスリストについては,「■アクセスリスト作成数」を参照してください。
ポリシーベースルーティングのパラメータは,フィルタ動作にpermitを指定した場合に指定できます。なお,該当するアクセスリストを,アクセスグループコマンドでインタフェースに適用する場合は,VLANインタフェースのInbound(受信側)を指定してください。【OS-L3A】
[入力形式]
- 情報の設定・変更
- 補足説明の設定
- access-list <access list number> remark <remark>
- IPv4アドレスフィルタの設定
- access-list <access list number> [<sequence>] {deny | permit} {<ipv4> [<ipv4 wildcard>] | host <ipv4> | any}
- IPv4パケットフィルタの設定
- access-list <access list number> [<sequence>] permit {フィルタ条件} [動作指定]
- access-list <access list number> [<sequence>] deny {フィルタ条件}
- フィルタ条件
- 上位プロトコルがTCP,UDP,ICMPおよびIGMP以外の場合
{deny | permit} {ip | <protocol>} {<source ipv4> <source ipv4 wildcard> | host <source ipv4> | any} {<destination ipv4> <destination ipv4 wildcard> | host <destination ipv4> | any} [{[tos <tos>] [precedence <precedence>] | dscp <dscp>}] [vlan <vlan id>] [user-priority <priority>]
- 上位プロトコルがTCPの場合
{deny | permit} tcp {<source ipv4> <source ipv4 wildcard> | host <source ipv4> | any}[{eq <source port> | range <source port start> <source port end>}] {<destination ipv4> <destination ipv4 wildcard> | host <destination ipv4> | any} [{eq <destination port> | range <destination port start> <destination port end>}] [ack] [fin] [psh] [rst] [syn] [urg] [{[tos <tos>] [precedence <precedence>] | dscp <dscp>}] [vlan <vlan id>] [user-priority <priority>]
- 上位プロトコルがUDPの場合
{deny | permit} udp {<source ipv4> <source ipv4 wildcard> | host <source ipv4> | any}[{eq <source port> | range <source port start> <source port end>}] {<destination ipv4> <destination ipv4 wildcard> | host <destination ipv4> | any} [{eq <destination port> | range <destination port start> <destination port end>}] [{[tos <tos>] [precedence <precedence>] | dscp <dscp>}] [vlan <vlan id>] [user-priority <priority>]
- 上位プロトコルがICMPの場合
{deny | permit} icmp {<source ipv4> <source ipv4 wildcard> | host <source ipv4> | any} {<destination ipv4> <destination ipv4 wildcard> | host <destination ipv4> | any} [{<icmp type> [<icmp code>] | <icmp message>}] [{[tos <tos>] [precedence <precedence>] | dscp <dscp>}] [vlan <vlan id>] [user-priority <priority>]
- 上位プロトコルがIGMPの場合
{deny | permit} igmp {<source ipv4> <source ipv4 wildcard> | host <source ipv4> | any} {<destination ipv4> <destination ipv4 wildcard> | host <destination ipv4> | any} [{[tos <tos>] [precedence <precedence>] | dscp <dscp>}] [vlan <vlan id>] [user-priority <priority>]
- 動作指定【OS-L3A】
- action policy-list <policy list no.>
- 情報の削除
- no access-list <access list number>
[入力モード]
(config)
[パラメータ]
- <access list number>
- アクセスリストを識別するための識別子を指定します。
- 本識別子はアクセスリストを参照するために使います。
- 本パラメータ省略時の初期値
省略できません
- 値の設定範囲
1〜199または1300〜2699(10進数)を指定します。
1〜99または1300〜1999(10進数)は,IPv4アドレスフィルタ専用の識別子です。
100〜199または2000〜2699(10進数)は,IPv4パケットフィルタ専用の識別子です。
- remark <remark>
- アクセスリストの補足説明を設定します。
- 一つのIDに対して一行だけ設定可能です。再度入力した場合は上書きになります。
- 本パラメータ省略時の初期値
初期値はNULLです。
- 値の設定範囲
64文字以内の文字列をダブルクォート(")で囲んで設定します。入力可能な文字は,英数字と特殊文字です。入力文字列にスペースなどの特殊文字を含まない場合,文字列をダブルクォート(")で囲まなくても設定できます。詳細は,「パラメータに指定できる値」の「■任意の文字列」を参照してください。
- <sequence>
- フィルタ条件の適用順序を指定します。
- 本パラメータ省略時の初期値
アクセスリスト内に条件がない場合,初期値は10です。
条件を設定してある場合,設定してある適用順序の最大値+10です。
ただし,適用順序の最大値が4294967284より大きい値の場合は省略できません。
- 値の設定範囲
1〜4294967294(10進数)を指定します。
フィルタ条件パラメータ
- {deny | permit}
- フィルタ条件に一致した場合のフィルタ動作を指定します。
- denyを指定した場合,アクセスを拒否します。
- permitを指定した場合,アクセスを許可します。
- 本パラメータ省略時の初期値
省略できません
- 値の設定範囲
denyまたはpermitを指定します。
- {<ipv4> [<ipv4 wildcard>] | host <ipv4> | any}
- IPv4アドレスを指定します。
- すべてのIPv4アドレスを指定する場合はanyを指定します。
- 本パラメータ省略時の初期値
省略できません
- 値の設定範囲
<ipv4> [<ipv4 wildcard>]または,host <ipv4>,anyを指定します。
<ipv4>にはIPv4アドレスを指定します。
[<ipv4 wildcard>]にはIPv4アドレスの中で任意の値を許可するビットを立てたワイルドカードマスクをIPv4アドレス形式で指定します。省略した場合は<ipv4>の完全一致をフィルタ条件とします。
host <ipv4>を入力した場合は<ipv4>の完全一致をフィルタ条件とします。
anyを指定すると,IPv4アドレスをフィルタ条件とはしません。
IPv4アドレス(nnn.nnn.nnn.nnn):0.0.0.0〜255.255.255.255
- {ip | <protocol> | icmp | igmp | tcp | udp}
- IPv4パケットの上位プロトコル条件を指定します。
- ただし,すべてのプロトコルを対象とする場合はipを指定します。
- 本パラメータ省略時の初期値
省略できません
- 値の設定範囲
0〜255(10進数)またはプロトコル名称を指定します。
指定可能なプロトコル名称は「表18-1 指定可能なプロトコル名称(IPv4)」を参照してください。
- {<source ipv4> <source ipv4 wildcard>| host <source ipv4> | any}
- 送信元IPv4アドレスを指定します。
- すべての送信元IPv4アドレスを指定する場合はanyを指定します。
- 本パラメータ省略時の初期値
省略できません
- 値の設定範囲
<source ipv4> <source ipv4 wildcard>,host <source ipv4>またはanyを指定します。
<source ipv4>には送信元IPv4アドレスを指定します。
<source ipv4 wildcard>にはIPv4アドレスの中で任意の値を許可するビットを立てたワイルドカードマスクをIPv4アドレス形式で指定します。
host <source ipv4>を入力した場合は<source ipv4>の完全一致をフィルタ条件とします。
anyを指定すると,送信元IPv4アドレスをフィルタ条件とはしません。
IPv4アドレス(nnn.nnn.nnn.nnn):0.0.0.0 〜 255.255.255.255
- {eq <source port> | range <source port start> <source port end>}
- 送信元ポート番号を指定します。
- プロトコルがTCPおよびUDPだけのオプションです。
- 本パラメータ省略時の初期値
なし(検出条件としません)
- 値の設定範囲
0〜65535(10進数)または,ポート名称を指定します。
指定可能なポート名称は「表18-3 TCPで指定可能なポート名称」および「表18-4 UDPで指定可能なポート名称(IPv4)」を参照してください。
eqを指定した場合は,<source port>の完全一致をフィルタ条件とします。
rangeを指定した場合は,<source port start>から<source port end>の範囲をフィルタ条件とします。
<source port end>は<source port start>より大きいポート番号を指定してください。
- {<destination ipv4> <destination ipv4 wildcard> | host <destination ipv4> | any}
- 宛先IPv4アドレスを指定します。
- すべての宛先IPv4アドレスを指定する場合はanyを指定します。
- 本パラメータ省略時の初期値
省略できません
- 値の設定範囲
<destination ipv4> <destination ipv4 wildcard>,host <destination ipv4>またはanyを指定します。
<destination ipv4>には宛先IPv4アドレスを指定します。
<destination ipv4 wildcard>にはIPv4アドレスの中で任意の値を許可するビットを立てたワイルドカードマスクをIPv4アドレス形式で指定します。
host <destination ipv4>を入力した場合は,<destination ipv4>の完全一致をフィルタ条件とします。
anyを指定すると,宛先IPv4アドレスをフィルタ条件とはしません。
IPv4アドレス(nnn.nnn.nnn.nnn):0.0.0.0 〜 255.255.255.255
- {eq <destination port> | range <destination port start> <destination port end>}
- 宛先ポート番号を指定します。
- プロトコルがTCPおよびUDPだけのオプションです。
- 本パラメータ省略時の初期値
なし(検出条件としません)
- 値の設定範囲
0〜65535(10進数)またはポート名称を指定します。
指定可能なポート名称は「表18-3 TCPで指定可能なポート名称」および「表18-4 UDPで指定可能なポート名称(IPv4)」を参照してください。
eqを指定した場合は,<destination port>の完全一致をフィルタ条件とします。
rangeを指定した場合は,<destination port start>から<destination port end>の範囲をフィルタ条件とします。
<destination port end>は<destination port start>より大きいポート番号を指定してください。
- tos <tos>
- 本パラメータは,ToSフィールドのビット3〜6の4ビットであるtos値を指定します。
- 受信パケットのToSフィールドのビット3〜6の4ビットと比較します。
- 本パラメータ省略時の初期値
なし(検出条件としません)
- 値の設定範囲
0〜15(10進数)またはtos名称を指定します。
指定可能なtos名称は「表18-6 指定可能なtos名称」を参照してください。
- precedence <precedence>
- 本パラメータは,ToSフィールドの上位3ビットであるprecedence値を指定します。
- 受信パケットのToSフィールド上位3ビットと比較します。
- 本パラメータ省略時の初期値
なし(検出条件としません)
- 値の設定範囲
0〜7(10進数)またはprecedence名称を指定します。
指定可能なprecedence名称は「表18-7 指定可能なprecedence名称」を参照してください。
- dscp <dscp>
- 本パラメータは,ToSフィールドの上位6ビットであるDSCP値を指定します。
- 受信パケットのToSフィールド上位6ビットと比較します。
- 本パラメータ省略時の初期値
なし(検出条件としません)
- 値の設定範囲
0〜63(10進数)またはDSCP名称を指定します。
指定可能なDSCP名称は「表18-8 指定可能なDSCP名称」を参照してください。
- ack
- TCPヘッダのACKフラグが1のパケットの検出を指定します。
- プロトコルがTCPだけのオプションです。
- 本パラメータ省略時の初期値
なし(検出条件としません)
- 値の設定範囲
なし
- fin
- TCPヘッダのFINフラグが1のパケットの検出を指定します。
- プロトコルがTCPだけのオプションです。
- 本パラメータ省略時の初期値
なし(検出条件としません)
- 値の設定範囲
なし
- psh
- TCPヘッダのPSHフラグが1のパケットの検出を指定します。
- プロトコルがTCPだけのオプションです。
- 本パラメータ省略時の初期値
なし(検出条件としません)
- 値の設定範囲
なし
- rst
- TCPヘッダのRSTフラグが1のパケットの検出を指定します。
- プロトコルがTCPだけのオプションです。
- 本パラメータ省略時の初期値
なし(検出条件としません)
- 値の設定範囲
なし
- syn
- TCPヘッダのSYNフラグが1のパケットの検出を指定します。
- プロトコルがTCPだけのオプションです。
- 本パラメータ省略時の初期値
なし(検出条件としません)
- 値の設定範囲
なし
- urg
- TCPヘッダのURGフラグが1のパケットの検出を指定します。
- プロトコルがTCPだけのオプションです。
- 本パラメータ省略時の初期値
なし(検出条件としません)
- 値の設定範囲
なし
- <icmp type>
- ICMPタイプを指定します。
- プロトコルがICMPだけのオプションです。
- 本パラメータ省略時の初期値
なし(検出条件としません)
- 値の設定範囲
0〜255(10進数)を指定します。
- <icmp code>
- ICMPコードを指定します。
- プロトコルがICMPだけのオプションです。
- 本パラメータ省略時の初期値
なし(検出条件としません)
- 値の設定範囲
0〜255(10進数)を指定します。
- <icmp message>
- ICMPメッセージ名称を指定します。
- プロトコルがICMPだけのオプションです。
- 指定可能なICMPメッセージ名称は「表18-11 ICMPで指定可能なメッセージ名称(IPv4)」を参照してください。
- 本パラメータ省略時の初期値
なし(検出条件としません)
- 値の設定範囲
なし
- vlan <vlan id>
- VLAN IDを指定します。
- 本パラメータはイーサネットインタフェースに適用した場合だけ有効です。
- 本パラメータ省略時の初期値
なし(検出条件としません)
- 値の設定範囲
「パラメータに指定できる値」を参照してください。
- user-priority <priority>
- ユーザ優先度を指定します。
- 本パラメータ省略時の初期値
なし(検出条件としません)
- 値の設定範囲
0〜7(10進数)を指定します。
動作パラメータ【OS-L3A】
- action
- 動作パラメータを設定,変更する場合は,必ず本パラメータを動作パラメータ全体の先頭に設定してください。
- 本パラメータ省略時の初期値
なし(動作指定をする場合は省略できません)
- 値の設定範囲
なし
- policy-list <policy list no.>
- ポリシーベースルーティングのリスト番号を指定します。
- 本パラメータ省略時の初期値
なし(ポリシーベースルーティングを使用しません)
- 値の設定範囲
policy-listコマンドで設定済みのポリシーベースルーティングのリスト番号を指定します。
[コマンド省略時の動作]
なし
[通信への影響]
アクセスリストをインタフェースに適用した状態でエントリを追加または変更すると,エントリがインタフェースに適用されるまでの間,該当インタフェースで受信したパケットが一時的に廃棄される場合があります。
[設定値の反映契機]
設定値変更後,すぐに運用に反映されます。
[注意事項]
- IPv4アドレスフィルタでは,対応するIPホストアドレスを指定するときにマスクを省略すると,0.0.0.0がマスクとして使用されます。
- ip access-list standardで指定した1-99または1300-1999の<access list number>と同じリストを操作できます。
- ip access-list extendedで指定した100-199または2000-2699の<access list number>と同じリストを操作できます。
- IPv4アドレスワイルドカードマスク,送信元アドレスワイルドカードマスクおよび宛先アドレスワイルドカードマスクに255.255.255.255と入力したときはanyと表示します。
- IPv4アドレス,送信元アドレスおよび宛先アドレスにnnn.nnn.nnn.nnn 0.0.0.0と入力したときはhost nnn.nnn.nnn.nnnと表示します。
- 動作パラメータにポリシーベースルーティングを指定する場合,フィルタ条件に設定する送信元IPv4アドレスおよび宛先IPv4アドレスに次のアドレスは指定できません。【OS-L3A】
- 送信元IPv4アドレス
マルチキャストアドレス,内部ループバックアドレス
- 宛先IPv4アドレス
マルチキャストアドレス,制限付きブロードキャストアドレス,内部ループバックアドレス
[関連コマンド]
ip access-group
ip access-list resequence
policy-list【OS-L3A】
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