構成定義コマンドレファレンス Vol.1

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rip

本コマンドはルーティング・プロトコルRIPに関する動作情報を設定します。本コマンドはIPv4専用コマンドです。

[入力モード]

グローバルコンフィグモード

[入力形式]

情報の設定
rip[{ yes | no }]
 >>移行モード:rip

情報の削除
delete rip[interface <IP Address>]

情報の表示
show rip

[サブコマンド入力形式]

グローバル情報の設定
broadcast
preference <Preference>
defaultmetric <Metric>
needhold
updatetime <time>
agingtime <time>
holdcount <count>
inherit-metric
targetgateways <Host Address>...
trustedgateways <Host Address>...

グローバル情報の削除
delete broadcast
delete preference
delete defaultmetric
delete needhold
delete updatetime
delete agingtime
delete holdcount
delete inherit-metric
delete targetgateways
delete trustedgateways

インタフェース情報の設定
interface <Interface Address>...
 >>移行モード:rip interface

インタフェース情報の設定
delete interface

[モード階層]

rip
 └─ rip interface

[パラメータ]

{ yes | no }
RIPを使用するかしないかを指定します。yesを指定した場合,rip interfaceコマンドで設定したインタフェースでRIPが動作します。rip interfaceコマンドで何も指定していない場合は,すべてのインタフェースでRIPが動作します。
  1. 本パラメータ省略時の初期値
    yes(ただし,ripコマンドを入力しない場合の初期値はnoです)
  2. 値の設定範囲
    yesまたはno

[サブコマンド]

broadcast
動作中のインタフェースが一つの場合もRIPパケットを送信したい場合は,本サブコマンドを指定します。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    動作中のインタフェースが一つしかない場合,RIPパケットを送信しません。
  2. 値の設定範囲
    なし

preference <Preference>
RIPで学習した経路情報のプレファレンス値を指定します。importコマンドで指定するプレファレンス値が本サブコマンドより優先します。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    初期値は100です。
  2. 値の設定範囲
    <Preference>に2〜255(10進数)を指定します。2は最高の優先度,255は最低の優先度を示します。

defaultmetric <Metric>
他のプロトコルで学習した経路情報をRIPで広告する場合のメトリック値を指定します。exportコマンドにより設定したメトリック値が本サブコマンドより優先します。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    初期値は16です。
  2. 値の設定範囲
    <Metric>に1〜16(10進数)を指定します。

needhold
ホールドダウン中に新しい経路を学習しても,ホールドダウンが完了するまで新しい経路に切り替えないことを指定します。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    ホールドダウン中に新しい経路を学習した場合,新しい経路に切り替えます。
  2. 値の設定範囲
    なし

updatetime <Time>
周期広告タイマ値を指定します。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    30秒
  2. 値の設定範囲
    <Time>に1〜60(10進数)を指定します。

agingtime <Time>
エージングタイマ値を指定します。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    180秒
  2. 値の設定範囲
    <Time>に1〜360(10進数)を指定します。

holdcount <Count>
ホールドダウン広告(メトリック16の広告)を行う回数を指定します。ホールドダウンタイマ値は,本ホールドダウン広告回数と周期広告タイマの積となります。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    4回
  2. 値の設定範囲
    <Count>に1〜8(10進数)を指定します。

inherit-metric
他のルーティング・プロトコルの経路情報をRIPで広告する際,メトリック値を引き継ぐことを指定します。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    省略時はメトリックを引き継ぎません。
  2. 値の設定範囲
    なし

targetgateways <Host Address>...
RIPパケットを送信する相手ゲートウェイを指定します。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    相手ゲートウェイを指定しません。
  2. 値の設定範囲
    <Host Address>にIPv4アドレス(ドット記法,または,ホスト名称)を指定します。複数のIPアドレスを指定できます。ただし,同一のアドレスを重複して指定できません。
    targetgatewayに対するパケット送信(ブロードキャスト型インタフェース)について次に示します。
    項番 rip interface定義 ripパケット送信動作
    1 interface定義が一つもなし 全インタフェースに対してブロードキャストで送信,targetgateway のあるネットワークへブロードキャストとユニキャストの両方で送信するため,targetgateway以外のゲートウェイに対しても送信する。
    2 targetgatewayのネットワークと接続するinterfaceにripout,noripout指定なし 該当ネットワークへブロードキャストとユニキャストの両方で送信するため,targetgateway 以外のゲートウェイに対しても送信する。
    3 targetgatewayのネットワークと接続するinterfaceにripout指定あり ブロードキャストとユニキャストの両方で送信するため,targetgateway以外のゲートウェイに対しても送信する。
    4 targetgatewayのネットワークと接続するinterfaceにnoripout指定あり ユニキャストで送信するためtargetgatewayに対してだけ送信する。

trustedgateways <Host Address>...
RIPパケットを受信する相手ゲートウェイを指定します。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    相手ゲートウェイを指定しません。
  2. 値の設定範囲
    <Host Address>にIPv4アドレス(ドット記法,または,ホスト名称)を指定します。複数のIPアドレスを指定できます。ただし,同一のアドレスを重複して指定できません。
    trustedgatewayからのパケット受信について次に示します。
    項番 rip interface定義 ripパケット受信動作
    1 interface指定なし 当該ゲートウェイからのパケット受信だけ有効
    2 trustedgatewayのネットワークと接続するinterfaceにripin,noripin指定なし 当該ゲートウェイからのパケット受信だけ有効
    3 trustedgatewayのネットワークと接続するinterfaceにripin指定あり 当該ゲートウェイからのパケット受信だけ有効
    4 trustedgatewayのネットワークと接続するinterfaceにnoripin指定あり すべてのゲートウェイからのパケット受信は無効

interface <Interface Address>...
動作情報を設定するインタフェースのIPアドレスを指定します。該当インタフェースがブロードキャスト型(LAN(イーサネット)またはブロードキャスト型のWAN(フレームリレーやATM))の場合は,該当インタフェースのIPアドレスを設定します。ポイント−ポイント型(WAN(ブロードキャスト型のフレームリレーおよびATM以外))の場合は,該当インタフェースに接続する相手装置のインタフェースのIPアドレスを設定します。
「情報の削除」で本サブコマンドを指定した場合,当該インタフェース情報に複数のIPアドレスが指定されている場合は,指定IPアドレスを削除します。また,当該インタフェース情報に一つのIPアドレスしか指定されていない場合は,当該インタフェース情報を削除します。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    なし(省略不可)
  2. 値の設定範囲
    <Interface Address>に全インタフェースを示すallまたは個別のインタフェースを示すIPアドレス(ドット記法,インタフェース名称,またはホスト名称)を指定します。<Interface Address>...では,複数のIPアドレスを指定できます。

[入力例]

  1. 情報の設定

    RIP共通情報の設定
    RIP共通情報(broadcast指定,プレファレンス150,デフォルトメトリック2)を設定します。
     
    (config)# rip yes
    [rip]
    (config)# broadcast
    [rip]
    (config)# preference 150
    [rip]
    (config)# defaultmetric 2
    [rip]
    (config)# exit
    (config)# show rip
    rip yes
      broadcast
      preference 150
      defaultmetric 2
    (config)# 
     

    RIPインタフェース情報の設定
    複数のインタフェースを持つルータで,インタフェース172.16.178.1,172.16.179.1だけでRIPを動作させます。
     
    (config)# rip
    [rip]
    (config)# interface 172.16.178.1
    [rip interface 172.16.178.1]
    (config)# ripin
    [rip interface 172.16.178.1]
    (config)# ripout
    [rip interface 172.16.178.1]
    (config)# exit
    [rip]
    (config)# interface 172.16.179.1
    [rip interface 172.16.179.1]
    (config)# ripin
    [rip interface 172.16.179.1]
    (config)# ripout
    [rip interface 172.16.179.1]
    (config)# exit
    [rip]
    (config)# exit
    (config)# show rip
    rip yes
      broadcast
      preference 150
      defaultmetric 2
      interface 172.16.178.1
        ripin
        ripout
      interface 172.16.179.1
        ripin
        ripout
    (config)# apply
    (config)# 
     
  2. パラメータの変更

    RIP共通情報の変更
    プレファレンス値を120に変更します。
     
    (config)# show rip
    rip yes
      broadcast
      preference 150
      defaultmetric 2
      interface 172.16.178.1
        ripin
        ripout
      interface 172.16.179.1
        ripin
        ripout
    (config)# rip
    [rip]
    (config)# preference 120
    [rip]
    (config)# exit
    (config)# show rip
    rip yes
      broadcast
      preference 120
      defaultmetric 2
      interface 172.16.178.1
        ripin
        ripout
      interface 172.16.179.1
        ripin
        ripout
    (config)# 
     

    RIPインタフェース情報の変更
    インタフェース172.16.179.1でRIPパケット送出時のメトリック加算値を1に設定します。
     
    (config)# rip
    [rip]
    (config)# interface 172.16.179.1
    [rip interface 172.16.179.1]
    (config)# metricout 1
    [rip interface 172.16.179.1]
    (config)# exit
    [rip]
    (config)# exit
    (config)# show rip
    rip yes
      broadcast
      preference 120
      defaultmetric 2
      interface 172.16.178.1
        ripin
        ripout
      interface 172.16.179.1
        ripin
        ripout
        metricout 1
    (config)# apply
    (config)# 
     
  3. 設定情報の表示
    RIP情報を表示します。
     
    (config)# show rip
    rip yes
      broadcast
      preference 120
      defaultmetric 2
      interface 172.16.178.1
        ripin
        ripout
      interface 172.16.179.1
        ripin
        ripout
        metricout 1
    (config)# 
     
  4. 設定情報の削除
    preferenceおよびmetricoutパラメータを削除します。
     
    (config)# show rip
    rip yes
      broadcast
      preference 120
      defaultmetric 2
      interface 172.16.178.1
        ripin
        ripout
      interface 172.16.179.1
        ripin
        ripout
        metricout 1
    (config)# rip
    [rip]
    (config)# delete preference
    [rip]
    (config)# rip interface 172.16.179.1
    [rip interface 172.16.179.1]
    (config)# delete metricout
    [rip interface 172.16.179.1]
    (config)# exit
    [rip]
    (config)# exit
    (config)# show rip
    rip yes
      broadcast
      defaultmetric 2
      interface 172.16.178.1
        ripin
        ripout
      interface 172.16.179.1
        ripin
        ripout
    (config)# apply
    (config)# 
     
    RIPインタフェース情報を削除します。
     
    (config)# show rip
    rip yes
      broadcast
      defaultmetric 2
      interface 172.16.178.1
        ripin
        ripout
      interface 172.16.179.1
        ripin
        ripout
    (config)# rip
    [rip]
    (config)# delete interface 172.16.179.1
    [rip]
    (config)# exit
    (config)# show rip
    rip yes
      broadcast
      defaultmetric 2
      interface 172.16.178.1
        ripin
        ripout
    (config)# apply
    (config)# 
     
    RIP情報を削除します。
     
    (config)# show rip
    rip yes
      broadcast
      defaultmetric 2
      interface 172.16.178.1
        noripin
        noripout
    (config)# delete rip
    (config)# show rip
    (config)# apply
    (config)# 
     

[関連コマンド]

import(インポート・フィルタ情報)

export(エキスポート・フィルタ情報)

aggregate(経路集約情報)

apply(ルーティングプロトコル構成定義情報反映)

[注意事項]

  1. router config_update autoが定義されていない時に本コマンドを使用し構成定義情報の変更を行った場合は,applyコマンドを投入してください。
  2. rip interfaceコマンドによりインタフェース情報を設定した場合,RIPパケットの送信対象はインタフェース情報を設定したインタフェースだけとなります。インタフェース情報を指定していないインタフェースではRIPパケットの送信は行いませんので注意してください。なお,RIPパケットの受信はインタフェース情報でnoripoutパラメータを明示的に指定していない場合,受信動作を行います。
    項番 インタフェース情報 RIPパケット送信 RIPパケット受信
    当該インタフェース
    1 設定なし あり
    (全インタフェース)
    あり
    (全インタフェース)
    2 設定あり 設定あり 設定条件に従う
    (当該インタフェース)
    設定条件に従う
    (当該インタフェース)
    3 設定なし なし
    (当該インタフェース)
    あり
    (当該インタフェース)
  3. rip interface <Interface Address> | <No> <Interface Address>コマンドによりallおよび個別のIPアドレスを共に指定し,かつ同一のパラメータを指定した場合,当該インタフェースに対しては個別指定の情報が優先されます。また,個別指定で同一インタフェースを重複して指定できません。
  4. 周期広告時間(updatetime),エージング時間(agingtime)を設定する場合は,以下に示す条件内で指定してください。なお,周期広告時間は各条件(条件1,および条件2)を共に満たす必要があります。

    【周期広告時間】

    条件1:周期広告時間 ≧ 0.0003×隣接ルータ数×最大経路エントリ数

    条件2:周期広告時間 ≧ ( 200×最大経路エントリ数 ) ÷ 最低回線速度

    【エージング時間】

    エージング時間 ≧ 3×対向装置の周期広告時間
    周期広告時間の算出例を以下に示します。

    【周期広告時間の算出例】
    隣接ルータ数50,最低回線速度64kbps(8000バイト/秒),最大経路エントリ数1000時の最低周期広告時間の例を以下に示します。

    条件1:周期広告時間
    ≧ 0.0003×隣接ルータ数×最大経路エントリ数
    ≧ 0.0003×50×1000
    ≧ 15(秒)

    条件2:周期広告時間
    ≧ ( 200×最大経路エントリ数 ) ÷ 最低回線速度
    ≧ ( 200×1000 ) ÷ 8000
    ≧ 25(秒)
    上記条件1,2より,最低周期広告時間は,条件1,条件2を共に満たす25(秒)となります。

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