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イーサネットを介した高精度な同期処理を実現する
「PTP機能対応ソリューション」

SUMMARY

社会インフラ系のシステムや、特定業務向けのシステムなど、これまで独自の規格や回線を用いて構築、運用されてきた分野で、装置間の相互接続を行うネットワークに汎用的なイーサネット(IPネットワーク)を採用するケースが増えています。それに伴い、正確な時刻の取得や任意のタイミングに基づく機器間の同期処理を、イーサネット上でより高精度に実現する必要性が高まっています。

アラクサラネットワークスは、ネットワークスイッチのAXシリーズでマイクロ秒(百万分の一秒)単位の高精度な同期処理に対応する「PTP(Precision Time Protocol)」機能の実装を進めています。すでに放送業界向けの検証を行っており、今後は他の分野にも順次展開することで多様なニーズに応えていきます。

専用回線からイーサネットへの移行では高精度の同期処理が課題の1つに

交通機関や送電、通信などの社会インフラ、製造や放送など専門的な業種でイーサネットが利用されるようになってきました。背景には、通信速度が向上して既存の回線を置き換えやすくなったこと、ネットワーク機器やケーブルのコストを抑えやすいこと、IoT(Internet of Things)の波を受けて接続する装置の汎用化(オープン化)が進んでいることなど、さまざまな理由が挙げられます。
さらにイーサネットは、信号の多重化が可能なため、これまではデータ用、制御用、同期用という具合に目的ごとに回線を設けていたところを、1本のケーブルですべてやり取りできるようになるので、ケーブルの本数と重量、敷設コストや維持管理コストが削減できます。

しかし、社会インフラ系や専門的な業種で用いられるシステムでは、極めて厳密な同期処理を求められるものが少なくありません。送出側と受手側で生じるごくわずかな同期のずれが、致命的な問題につながりかねない場合もあるからです。こうした分野で従来からの回線をイーサネットへ置き換えるには、単純なコストや効率だけでなく、専用の回線やシステムで担保されてきた高精度の同期処理をイーサネット上で実現することがとても重要なポイントになります。

マイクロ秒単位の同期処理を可能にするPTPへの対応がカギ

現在、イーサネットで一般的に用いられている時刻同期の方法にはNTP(Network Time Protocol)があります。これはミリ秒(千分の一秒)単位での同期を実現します。しかし社会インフラ系や専門的な業種のシステムでは、マイクロ秒(百万分の一秒)単位というより高精度な同期を必要とするものが多いため、NTPでは不十分です。そこで利用が始まっているのがPTP(Precision Time Protocol)というわけです。

アラクサラは、ネットワークスイッチAXシリーズでPTPへの対応を進めています。まず2018年7月にAX4600Sシリーズが対応し、今後ラインアップを拡大していく予定です。これにより今後イーサネットを利用したさまざまなシステムにおける高精度の同期処理を可能にし、設備投資などのコスト抑制や運用管理の効率化を支援します。

アラクサラAXシリーズPTP対応モデルの特長

<特長1>実地検証で実用に堪えるパフォーマンスを確認

PTPでは、時刻情報を配信するマスタ装置と、受信するスレーブ装置との間で伝送遅延情報を交換し、スレーブ装置側の補正を行うことで精度の高い時刻同期を実現します。アラクサラのAXシリーズは、有力ベンダの実地検証で、十分実用に堪えるソリューションであると確認されています。

<特長2>AXシリーズは10年長期保守サポートを提供

社会インフラ系のシステムでは特に、一度導入した機器の利用年数が一般的なITシステムと比較して長期に渡ります。そうした状況でも安心して利用できるよう、長期間のメーカー保守をメニューとして提供していることは強みです。

運用イメージ

1)放送局向けソリューション

放送局では、映像信号の切替などを正確に同期させるために、高精度の局内基準信号(Black Burst信号)を専用の同軸ケーブルで配信しています。現在はSDI(Serial Digital Interface)が主流ですが、4K/8Kデジタル放送の時代になり、イーサネットの帯域がSDIを大きく上回ったことを受けて、光ケーブルによるIPネットワーク化が進展しています。
PTPを利用することで、映像・音声データ用のイーサネットを介して同期した時刻情報から、8K放送などで必要とされる高精度の同期信号を生成することができるようになります。

放送局向けソリューション

PTPのTCに対応

【関連情報】 プレスリリース:ネットワークを介して高精度の時刻同期を実現するPTP機能をサポート

2)電力系システム向け

電力を安定的に供給するため、送電設備には落雷や事故などを検知して影響範囲を抑制し、設備を保護するための電力系統保護・制御システムが設けられています。許容される同期の誤差は数十マイクロ秒ほどとされ、現在は1つの基準信号をすべての保護装置に配信、同期する仕組みとなっています。 PTPを使うことにより、システム・装置間の通信をIPネットワークに置き換えた場合でも同期精度を現状と同等に保ち、電力の安定供給体制を維持できるようにします。

3)次世代モバイル通信(5G/LTE)向け

通信速度が高速化しているモバイルネットワークでは、各基地局の設備や端末間の同期にGPSからの時刻情報を利用しています。ただ、基地局ごとにGPSアンテナを設置するのは通信事業者にとって負担が大きく、設備増強における課題の1つとなっています。
PTPを利用して基地局同士をネットワークで結ぶことで、GPSに準じた高い精度の時刻同期を可能にし、同時に設備コストの削減や、展開に要する工期短縮にも貢献できます。

対応製品

AX4600Sシリーズ

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