第2回 「10Gを視野に入れたネットワークインタフェースの選択」
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| 9/7に発売を開始した「AX2400Sシリーズ」「AX3600Sシリーズ」は、1Uサイズながら10Gアップリンクに対応しています。 |
10M、100M、そして1Gbpsとして進化してきたイーサネットに、10Gの時代がやってきました。初めて10GをサポートしたAX7800シリーズに続いて、先日より発売を開始したAX3600シリーズ、AX2400シリーズにおいては、1Uサイズとコンパクトながら10Gアップリンクを実現しており、10Gがスタンダードとなる日も、そう遠くはなさそうです。
そこで第2回「エンジニアが語るアラクサラの技術」では、これから10Gを導入していくにあたっての意外な盲点「ネットワークインタフェース」について、光ファイバ選択の勘所もまじえて、規格化やケーブルの市場動向を踏まえた上でご説明します。
今回の語り手は、製品開発本部の吉野茂樹です。
Q:ネットワークの接続は単につなぐ口の形状が適合するケーブルを利用するだけかと考えていたのですが…
吉野:日常的に利用する家電やパソコン以外に触れる機会が少ないと「この機器とこの機器をつなぐ口が○型だから、○型に適合するケーブルを購入すればいいんだな」と思われがちですが、それがネットワーク、しかも10Gともなってくると、さすがに複雑になってきます。ネットワークと一口に言いましても、隣接する機器同士をつなぐものから、会社内のフロアをつなぐもの、さらには県をまたぐような数10kmに及ぶものもありますし、そのどれもが同じケーブルという訳にはいかないことは、直感的に分かっていただけるかと思います。
ケーブルには大きく分けて、メタルと光ファイバの2種類があります。一般的に光ファイバの方が「速くて大容量」というイメージがありますが、厳密にはそれぞれの種類の中にも膨大な数のネットワークインタフェースとケーブルの規格がありますから一概には言えませんし、規格ごとに得意・不得意がある上に価格も大きく変わってきますので、将来を見据えて最適なネットワークインタフェースを選択するというのも、ネットワークを構築する際のエンジニアの腕の見せ所だと思っています。
Q:機器に依存せずに、自ら戦略的にネットワークインタフェースを選択しようということですね。
吉野:その通りです。使用している機器はいつかはリプレースの時期がやってきます。もちろんネットワーク管理者にとってそのようなことは当たり前のことですので、常に頭に入れて取り組んでいる訳ですが、今後10Gを導入していくに当たっては「ネットワークインタフェース」についても、同じように理解を深めておく必要が出てきています。今回はその理由をお話しようと思うのですが、その前にまず、イーサネットで使用する光ファイバについてご説明しようと思います。
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| 図1 10Gイーサネットの4つのLAN規格 |
吉野:同軸ケーブルを用いた10Mbpsからスタートしたイーサネットは、LANには欠かせない標準の技術として定着してきました。その後、ツイストペアケーブルが利用されるようになって、伝送速度も100Mそして1Gに達し、イーサネットは時代の要求に応えて確実に進化し続け、2002年6月には、IEEE802.3aeとして10Gの超高速イーサネット規格が正式に策定されました。いわゆる10Gイーサネットが本格化し始めたわけです。この規格はイーサネットが通信事業者のバックボーンにまで利用されるようになってきたことを受けて、LANだけでなくWANも視野に入れた規格となっています。伝送ケーブルに光ファイバを用いたこの規格では、光ファイバの種類、波長、伝送距離などが規定されており、それぞれLAN用かWAN用かという用途によって7種類の規格に分類することができます。WANの規格に関しては別の機会に譲るとして、今回はLANの規格についてお話しましょう。
図1からもわかるように、10GイーサネットのLAN規格は最大伝送距離の違いによって大きく分類できます。波長と光ファイバの種類が規定され、波長は長距離用のものほど減衰しにくい長い波長が採用され、光ファイバは長距離伝送に向くSMF(シングルモードファイバ)と短距離用のMMF(マルチモードファイバ)に分類されます。
SMFは細く曲げに弱いという特性がありますが、光が通るコアの直径が小さいので、光が単一のモード(通り道)で分散することなく伝送されるため伝送損失が小さく、長距離伝送を達成することが出来るのです。但し、ケーブル製造時に光ファイバとケーブルのコネクタとの融着接続に精度を要するため、高価格です。
MMFはこれに対し、太く曲げに強いという特性がありますが、光が通るコアの直径が大きいので、光が多くのモード(通り道)に分散して伝送されるため信号が歪んで損失が大きく、伝送距離が短くなってしまいます。しかしながらケーブル製造時に光ファイバとケーブルのコネクタとの融着接続が比較的容易です。そのため、MMFは一般的に安価だと言えますが、中には伝送距離を延ばした高価なものもあります。
Q:光ファイバと一口に言っても様々な種類があるのですね。
吉野:はい。それでは、光ファイバの特性を一通り理解して頂けたかと思いますので、次にネットワークインタフェースについてお話したいと思います。実際にLANを敷設することを前提に考えてみましょう。
まず300mを超える遠距離の場合はSMFの光ファイバを用い、ERもしくはLR対応の製品を利用することになります。その際、長距離用のERはLRよりはるかに高価であるため、距離に応じてよく検討した方がいいでしょう。LRでは達成できない距離のためERを採用する場合でも、30kmを超えたのなら光パワーや光分散を測定してケーブル品質の良いものを使わなければなりません。また逆にERを用いての短距離接続時には強力なレーザーによって受信側を破壊してしまう恐れがあるため、光パワーを測って適切なアッテネータ(光減衰器)を利用する必要があります。
次に300m以下でどの規格を採用するかですが、実はここが一番の問題です。「LANの90%は300m以内である」という統計の数値が示すように、このあたりの距離のLANが最も多く利用されています。その中でも建物から別の建物、あるいは高層ビルのフロア間を結ぶ幹線にこそ超高速イーサネットの光ファイバを利用したいところですので、最も関心が高いかと思われますが、現在この300mまでの距離について何を使用するのかが、かなり難しい選択となっているのです。
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| 図2 300mまでの光ファイバの利用シーン |
Q:短距離であるならば安価なMMFを利用するのが良いように思いますが…
吉野:実はそこが問題なのです。先ほどの最大伝送距離からすれば、SR規格でMMFを利用するのが最適のように思えます。しかし、ここに10Mから100M、そして1Gと機器を換えるだけで同じケーブルを利用してきた常識が通用しない10Gの世界があるのです。
1Gまでであれば「300mまでは安価なMMF」が常識でした。すでにMMFの光ファイバを敷設してある場合には、なおさらMMFをSR規格で利用したくなります。しかし、従来のMMFをそのまま利用してSRを導入すると、わずか26mしか伝送距離がでない場合もあるのです。IEEEの規格では、「SRは最大300m」としていますが、これは10Gイーサネットに対応した伝送損失の少ない高品質のMMF光ファイバを使用した場合の話であり、現在この高品質のMMF光ファイバはSMF光ファイバより高価なのです。そのため現時点では、10GではSMF光ファイバが短距離から長距離まで、コスト的にも伝送距離においてもより適していると言えます。
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| 図3 10Gにおける短距離接続はMMFか? |
Q:一概に「短距離はMMF」「長距離はSMF」とは言えなくなってきているということですね。
吉野: はい。10Gの世界では今までの常識が通用しない場合もあるのです。
それから、将来の10G規格としては、極短距離については10GBASE-Tとして規格化されつつある低コストなメタルLANケーブルが利用できる可能性も見えてきました。また従来のMMF光ファイバを敷設してあるお客さまでSMFへの敷き換えが不可能な場合は、220mのMMFファイバを利用できる「LRM」の規格化が進んでいますので、規格化当初は高価であると予想されますが、その後の価格動向に注意してLRMの導入を検討するという選択肢も考えられますね。
今後とも標準化の動向を追いかけていく必要があると考えています。
Q:ネットワークインタフェースの選択は、知れば知るほど難しいところですね。
吉野:10Gイーサネットは、ようやく製品が揃い始めた段階です。しかし、10GイーサネットがLANを束ねる箇所や建物間、フロア間などの幹線として利用されるのは確実です。このような将来を見越し、ネットワークインタフェースの勘所を押さえた上で費用対効果の高い光ファイバの敷設やルータ・スイッチの導入を計画していくことが求められています。アラクサラのAXシリーズでは、お客様の必要とするポート数や各規格対応のネットワークインタフェースボードを自由に組み合わせて拡張することができますので、イーサネットの進化に対しても確実に、しかもローコストに対応してゆくことが可能です。
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| 2005年9月27日より、従来比2倍のパケット処理能力を備えた新しい10Gイーサネット・インタフェースボードを発売開始しました。 |





