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事例:甲南女子大学 様文教

  • FTスイッチ

Wi-Fiの全面開放や授業の映像配信に向けて
高速ネットワークに対応した小型シャーシスイッチにリプレース

神戸市東灘区にキャンパスを置く甲南女子大学では、かねてよりアラクサラのコアスイッチを軸にネットワークの安定稼働を実現していた。そしてこのたび、ハードウェア更新の時期を迎えるにあたって、最新の小型シャーシスイッチ「AX8608S」にリプレース。回線を1Gから10Gに強化し、高速かつ安定したネットワーク環境を実現した。これにより、学内のWi-Fi環境を全面開放し、学生の利便性を向上させるとともに、「sFlow」によるトラフィックの可視化や、授業の映像配信に向けて、新たなプロジェクトが動き始めている。

甲南女子大学 IT管理課 兼 管財課 課長 戸根川 賢氏

IT機器やネットワークの利用増を見越し高速化への対応を目指す

甲南女子大学の沿革と概要についてお聞かせください。

戸根川

本学園は今から95年前の1920年、甲南高等女学校として設立されました。1964年に甲南女子大学が開学し、2014年には50周年を迎えています。開学時は文学部だけだった学部も、現在は人間科学部、看護リハビリテーション学部を加えて3学部に。大学院も人文科学総合研究科と看護学研究科の2つの研究科があり、大学と大学院、併せて約4,200人の学生が在籍しています。

IT管理課の業務について教えてください。

日野

学内ネットワークの総合的な整備・管理と、学内で利用するPCの導入・保守などが中心です。そのほか、最近の授業では、洋画を見ながら英語のヒアリングを実施したり、ニュース映像を流して社会学の授業に活用したりと、DVDやブルーレイなどの映像素材を使うことが増えたため、プレーヤーやプロジェクターなど、マルチメディア機器のメンテナンスやサポートも行っています。

以前のネットワーク環境はどのようなものだったのでしょうか。

戸根川

2009年にアラクサラのシャーシ型スイッチ「AX6600S」を導入。学部棟、学内施設棟、甲南女子中高等学校のフロアスイッチと1Gのネットワークでつないでいました。それより前は、某海外メーカー製のスイッチを物理的に3台並べて冗長構成としていましたが、管理面などを考慮し、スイッチ1台で冗長構成が可能な、フォールト・トレラント・スイッチのAX6600Sに切り替えた経緯があります。

今回のリプレースのきっかけは何だったのでしょう?

日野

今後、学内でIT機器やネットワークの利用が進むと、トラフィックが増えて1Gのネットワークでは対応できなくなることが予想されます。そこで、導入から5年がたち、ハードウェア更新の時期を迎えたタイミングで、より高速なスイッチへリプレースすることにしました。

小型で優れたメンテナンス性とトラブルなしという過去の実績を評価

「AX8608S」を選定した理由を教えてください。

戸根川

小型でありながら、装置内冗長が可能だったことです。小型であればスペースも取らず、装置内で機器を冗長できればメンテナンスも容易ですから。そういう意味では、ボックス型とシャーシ型のメリットを両立したアラクサラのクロスオーバー型スイッチ「AX4600S」も検討しましたが、将来の拡張性や装置単体での冗長性を考慮し、シャーシ型の「AX8608S」を採用しました。性能面では、10Gはもちろん100Gのネットワークにも対応可能で、次世代サービスにも対応できる点に期待しました。

日野

アラクサラ製品は信頼性が高いというのも評価のポイントです。これまで使ってきたAX6600Sも5年の間、障害らしい障害が一度も起こりませんでしたし。そんな理由もあって、他メーカーのスイッチも候補には挙がったのですが、選定に迷いはありませんでした。

リプレースのスケジュールについてお聞かせください。

日野

2014年春から検討を始め、夏に機種を選定。入念な検証を行ったのち、切り替えの作業は、2014年10月の日曜日に1日で終わらせました。というのも、コアスイッチは大学だけでなく、甲南女子中高等学校ほかにもつながっており、日曜以外は授業があるので止めているわけにはいかなかったのです。トラブルが発生したときは従来のスイッチに戻す覚悟で臨みましたが、事前に関係者と綿密な打ち合わせを行ったことが功を奏し、問題なく作業を終えることができました。

サーバをコアスイッチに直接収容していますが、これには何か理由があるのでしょうか?

戸根川

サーバスイッチとコアスイッチを分けた場合、両スイッチ間を接続するインターフェース部分がボトルネックとなり、スピードが低下してしまうおそれがあります。そこで、パフォーマンスをフルに活かすため、サーバを直収することを決めました。1Gや10Gなど、異なるインターフェースを効率的に収容できる「マイクロラインカード構造」(※1)を採用しているAX8608Sは、1G接続が多い学内ネットワークのフロアスイッチと、10G化されたサーバ郡を一台で収容するのに適したスイッチといえます。

ネットワーク 構成図
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回線の高速化をきっかけにWi-Fi環境を全面開放

現在のネットワーク構成についてご説明ください。

戸根川

サーバスイッチを兼ねたコアスイッチAX8608Sをサーバルームに置き、サーバと10Gで接続しています。学内のネットワークは、コンピュータ教室が集中し、大量のトラフィックが発生する可能性がある学部棟とは10Gで接続し、残り8つの学部棟および講堂、図書館、学生会館などの学内施設、中高等学校とは1Gで接続しています。各学部棟や学内施設、中高等学校のフロアスイッチとはリンクアグリゲーション(※2)による接続を行い、耐障害性を高めながら回線を高速化しています。

AX8608Sの導入により得られた効果をお聞かせください。

日野

安定したネットワーク環境を維持したまま、高速化に対応できました。実測はしていませんが、ネットワークの速度も以前と比べて速くなっていると、様々なシーンで感じます。

戸根川

これまで学内のWi-Fi環境は、トラフィックの混雑を考慮し、事前に許可したノートPCのみの利用で、登録台数も数十台程度だったのですが、今回のリプレースをきっかけに全面開放。学生や教職員が自分のスマートフォンやタブレット端末、ノートPCなどから自由にネットワークへアクセスできるようにしました。結果的にWi-Fiの接続台数は以前の数十倍に伸び、トラフィック量も大幅に増加していますが、問題なく運用できています。

録画した授業をネットワーク経由で配信する構想も

今後の展望はいかがでしょうか?

日野

ネットワークをモニタリングするためのプロトコル「sFlow」(※3)を用いて、トラフィックを可視化することを考えています。現在、ネットワークの監視はIT管理課の職員が3人体制で行っていますが、トラフィックのモニタリングまではできていません。そこで、監視システムをsFlowを用いたものに切り替え、管理者が自席からいつでも状況を見えるようにすることで、ネットワーク監視の負荷を軽減し、障害の一次対応の切り分けもスピードアップさせたいですね。

戸根川

少し先の構想ですが、ネットワークを利用した映像配信による授業の実現を目指しています。たとえば図書館で所蔵する映像を配信したり、授業を録画・配信し、学生が好きな時間に自習できるようにしたりすることも考えています。また授業以外では、入学式や卒業式などのセレモニーを、遠隔地にいる家族や親戚が見られるような外部配信も検討中です。

最後にアラクサラに対する評価と今後の期待をお聞かせください。

戸根川

将来まで見据えた高速ネットワークが構築できたことは、アラクサラの支援のたまものかと思います。今後とも継続的なサポートを期待しています。

ありがとうございました。

*1
マイクロラインカード構造:1/4スロットサイズのカード単位で増設ができるため、スロットを効率的に利用できる。
*2
リンクアグリゲーション:複数の回線を仮想的に1本の回線とすることで、通信速度や耐障害性を高める技術。
*3
sFlow:スイッチやルーターなどを流れるトラフィック情報を送信するプロトコルの1つ。
社名/商品名は、各社の商標または登録商標です。

甲南女子大学

甲南女子大学

1920年に学校法人甲南女子学園の理事、安宅彌吉氏らが甲南高等女学校を創立。1964年に神戸市東灘区森北町の現在地に甲南女子大学を開学した。「まことの人間をつくる」を建学の精神とし、全人教育、個性尊重、自学創造を教育方針に掲げ、品格と国際性を備え、社会に貢献する高い志を持つ女性の育成を目指している。学部は文学部、人間科学部、看護リハビリテーション学部の3学部、大学院は人文科学総合研究科、看護学研究科の2研究科。

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