事例:住商情報システム株式会社(現 SCSK株式会社)企業

リングプロトコルによりネットワークの冗長構成を低コストで構築
- 障害の影響を局所化することで高信頼のネットワークを実現 -

住友商事グループの一員として「高度な情報技術にもとづき新たな価値を創造し、豊かな社会の実現に貢献する」を基本理念に掲げる住商情報システム。

同社は2010年10月、江東区豊洲に本社を新設するにあたり、機器の評価・検証用ネットワークをアラクサラネットワークスのスイッチで構築。

スイッチの数珠つなぎで構成するリングネットワークを採用することで敷設コストを削減し、さらにL2ループ検知機能によってケーブルの誤接続による障害に対応する高信頼のネットワークを実現した。

住商情報システム株式会社 技術・情報システムグループ 情報システム部 部長
太田 一郎 氏、住商情報システム株式会社 ITエンジニアリング事業部 エンジニアリングソリューション部 エンジニアリングソリューション第1チーム 部長付 佐藤 哲也 氏

基幹システムに影響を及ぼさない機器検証用のネットワークを構築

1969年の設立以来、各産業界で培ってきた豊富な実績と高度な技術力を背景に、国内外の顧客に総合的なITソリューションを提供している住商情報システム。

同社は本社機能の一部を中央区の晴海本社から、新設した豊洲本社に移転するにあたり、社内ネットワークの新規構築を迫られた。そこで、豊洲オフィスでは基幹業務用のネットワークと、機器検証用のネットワークをコアレベルで分離し、安全かつ安定したネットワーク環境で業務を行うことを決断する。基幹業務用と検証用でネットワークを分離した理由について、ITエンジニアリング事業部 エンジニアリングソリューション部 エンジニアリングソリューション第1チーム 部長付の佐藤哲也氏は次のように説明する。

「システムインテグレーターとして、多くのITベンダー製品を取り扱っている当社のビジネスの特性上、エンドユーザーに機器を導入する前の段階で、機器をネットワークに接続して評価・検証を行っています。業務規模的に多くの機器を評価・検証する必要があることから、ネットワークケーブルを抜き差しする頻度が多く、晴海本社ではループ構成や不正DHCPサーバーの立ち上げといった、ユーザーの接続ミスによる障害が発生していました。1つのコアスイッチの下に基幹系と検証系のネットワークが構成されていた晴海の環境では、障害が発生した際に原因特定に時間がかかり、業務に与える影響も少なくありません。そこで、豊洲本社では、接続機器の変更が多い検証用ネットワークを、基幹ネットワークから切り離すことで障害を局所化し、基幹業務に影響を及ぼさない構成とすることにしました」

リング型ネットワークで配線コストを大幅に削減

同社は豊洲本社の検証用ネットワークを、アラクサラネットワークスのフロアスイッチAX2430Sによって構築した。アラクサラ製品について太田氏は「当社は、アラクサラが設立された2004年当初からアラクサラ製品を取り扱ってきた実績があり、多くのお客様から性能・品質に対して高い評価の声をいただいています。また、国産ならではの安定性ときめ細かさがあることから、お客様にも安心して提供できます。当社がアラクサラ製品の保守・サポートを行う中でも、障害やトラブルが非常に少ないという実績がありました。システムインテグレーターとして、製品をお客様に提案・導入している当社が、アラクサラを採用するのは自然の流れです」と評価する。

同社はアラクサラのスイッチで検証用ネットワークを構築するにあたり、冗長化プロトコルとして「リング型ネットワーク」を採用した。一般的に、ネットワークトポロジーは、コアスイッチを介してツリー状にエッジスイッチを構成する「スター型ネットワーク」と、ネットワークをリング状に構成する「リング型ネットワーク」の2種類に大別されるが、リング型はシンプルな構成でネットワークが構築できるメリットがある。

「豊洲本社のネットワーク構築では、コスト面を評価してリング型ネットワークを採用しています。ワンフロアが広い豊洲オフィスで中央集中型のスター型ネットワークを採用すると、相当数の光ケーブルと、光ポート数の多い大型スイッチが必要です。一方、隣接したスイッチ同士を数珠つなぎで接続できるリング型ネットワークであれば、光ケーブルは一部で採用するだけで済み、大半を低価格のメタルケーブルで配線することが可能となります」と佐藤氏は語る。

シンプルな構成のリング型ネットワークなら導入は短期間で済み、将来的なネットワークの拡張にも対応しやすい。また、アラクサラのリング型ネットワークは、障害発生時の経路の切り替えにかかる時間が短いため、障害が起きても影響も最小限に抑えられるなど、様々な面でメリットがある。同社にとってリング型ネットワークは、初めて採用する機能だったが、大きな問題もなくスムーズに導入できたという。


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L2ループ検知機能で接続ミスによる停止を未然に防止

豊洲本社は現在、アラクサラのスイッチを7フロアに112台設置し、検証用ネットワークを構築している。また、他社製スイッチで構成した基幹ネットワークとの間にはゲートウェイ型のセキュリティ製品を導入し、基幹ネットワークの環境下で管理しているポータルシステムやメールシステムへのアクセスを、検証用ネットワークからも利用できる仕組みを検討しており、セキュリティ確保とユーザー利便性の両面を考慮しての構成となっている。

豊洲本社での運用開始から約半年が経過する中(取材時)、検証用ネットワークは、スイッチに起因する障害が発生することなく、安定した稼働を継続しているという。

同社が導入したアラクサラのスイッチAX2430Sは、ケーブルの誤接続によるループ障害を防止する「L2ループ検知機能」を搭載。このL2ループ検知機能により、ループ障害発生時には、該当するポートのシャットダウンによって障害を局所化する。さらに障害箇所も迅速に発見できるので、業務に及ぼす影響も少ない。

「機器の評価・検証業務で、ケーブルの抜き差しが頻繁に発生する中で、L2ループによる障害の影響がネットワーク全体に及ばない環境が構築できたことは、ネットワークの信頼性向上に大きく貢献しています」(佐藤氏)

リング型のノウハウを蓄積し自社ソリューションに展開

最後に太田氏は、今回採用したリング型ネットワークの導入成功事例を背景に、同社のシステムインテグレーションサービスの中で、リング型ネットワークとアラクサラ製品の提案に繋がればとの思いを明らかにし、次のように語った。

「リング型ネットワークは、当社ネットワークでは過去に大きな導入実績がありませんでしたが、今回、豊洲オフィスのネットワークを構築したことでさらにノウハウが蓄積できました。今後のソリューション展開で実績が顧客にアピールできれば、当社にとっても一石二鳥。今後もアラクサラネットワークスと共に、Win-Winの関係を築いていきたいと思います。そのためにも、さらなるサポートを期待しています」

豊洲本社の新設にあたり、高機能で障害に強いネットワーク環境を低コストで構築した同社の実績は、業務の安定化を実現しただけでなく、システムインテグレーション事業を展開する同社のビジネスにも大きな財産となった。住商情報システムは今後、新たな基盤を元にビジネスを強化していく。リング型ネットワークを採用した同社の事例は、冗長性の高いネットワークをシンプルかつ低コストで構築したい、すべての企業の参考になるはずだ。

住商情報システム株式会社

1969年の設立以来、各産業界における長年の豊富な実績と、業務ノウハウの蓄積を活用し、国内外のお客様に、総合的なソリューションを提供している。顧客ニーズに対応したシステム・アプリケーションを提供する業務系ソリューション事業、自社開発パッケージソフトを中心としたERPソリューション事業、ITインフラを構築するプラットフォームソリューション事業等の戦略的事業領域に強みを持ち、お客様の個別ニーズとビジネス環境に最適かつ有益なIT製品・サービスを提供している。